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高次脳機能障害

投稿日:2014/03/23

高次脳機能障害

交通事故で頭部を受傷した場合、一定期間治療を受けても記憶力、判断力、注意力などが低下したり、性格が変化したりする障害が残ってしまう高次脳機能障害が問題となるケースが多くあります。

この高次脳機能障害は、器質性の精神障害です。

高次脳機能障害の評価は、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力および社会行動能力の4つの能力の各々の喪失の程度に着目し、評価を行うこととされています。

※器質性とは、
症状や疾患が臓器組織の形態的異常にもとづいて生じている状態のことをいいます。

高次脳機能障害は次の表のとおり、1級1号から9級10号までの等級が認められます。

1級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

1級1号の「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」には、
身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的に介護を要するものが当たります。

2級1号の「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」には、
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排せつ、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないものが当たります。

3級3号の「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」には、
自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に制限されていない。また、声かけや介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なものが当たります。

5級2号の「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」には、
単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。そのため、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないものが当たります。

7級4号の「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」には、一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないものが当たります。

9級10号の「神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」には、
一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業維持力などに問題があるものが当たります。

高次脳機能障害の要件

高次脳機能障害が認定されるためには、少なくとも以下の3つの要件が必要となります。

  1. 傷病名が、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血のいずれかであること。
  2. それらの傷病が、レントゲン写真、CT、MRI画像で確認できること。
  3. 当初の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、若しくは健忘あるいは軽度の意識障害が少なくとも1週間以上続いていること。

高次脳機能障害の等級判断は、神経系統の機能の異常とそれに伴う社会行動能力の低下を総合して行われます。
神経系統の機能の異常についての立証は、画像や神経心理学的テストにより行われます。
具体的には、MRI画像撮影、MRアンギオ、スペクト検査、ペット検査、MRI拡散テンソルイメージ、神経心理学的検査、その他の検査を行います。
社会行動能力の低下については、日常生活状況報告書、神経系統の障害に関する医学的意見書などによって行われます。


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