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非器質性精神障害と後遺障害の認定基準

投稿日:2014/11/02

非器質性精神障害と後遺障害の認定基準

非器質性精神障害が後遺障害として認定されるには、厚生労働省が通達した労災の障害等級認定基準に該当する必要があります。交通事故による後遺障害の認定実務では、この基準が使用されているからです。

具体的には、(ア)の精神症状のうち、ひとつ以上が認められることが必要であり、かつ、(イ)の能力に関する判断項目のうち、ひとつ以上の能力について(能力の欠如や低下)が認められることが必要となります。

(ア)精神症状

  1. 抑うつ状態
  2. 不安の状態
  3. 意欲低下の状態
  4. 慢性化した幻覚・妄想性の状態
  5. 記憶または知的能力の障害
  6. その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)

(イ)能力に関する判断項目

  1. 身辺日常生活
  2. 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
  3. 通勤・勤務時間の厳守
  4. 普通に作業を持続すること
  5. 他人との意思伝達
  6. 対人関係・協調性
  7. 身辺の安全保持、危機の回避
  8. 困難・失敗への対応

(ア)精神症状

1.抑うつ状態

持続するうつ気分(悲しい、寂しい、憂うつである、希望がない、絶望的であるなど)、何をするにもおっくうになる。それまで楽しかったことに対して楽しいという感情がなくなる、気が進まない等の状態とされます。

2.不安の状態

全般的不安や恐怖、心気症、強迫など強い不安が続き、強い苦悩を示す状態とされます。

3.意欲低下の状態

全てのことに対して関心がわかず、自発性が乏しくなる、自ら積極的に行動せず、行動を起こしても長続きしない。口数が少なくなり、日常生活上の身の回りのことにも無精となる状態とされています。

4.慢性化した幻覚・妄想性の状態

自分に対する噂や悪口あるいは命令が聞こえる等、実際には存在しないものを知覚体験すること(幻覚)、自分が他者から害をくわえられている、食べ物や薬に毒が入っている、自分は特別な能力を持っているなど内容が間違っており、確信が異常に強く、訂正不可能であり、その人個人だけ限定された意味付け(妄想)等の幻覚、妄想を持続的に示す状態とされています。

5.記憶または知的能力の障害

非器質性の記憶障害としては、解離性(心因性)健忘があります。自分が誰であり、どんな生活史を持っているかをすっかり忘れてしまう全生活史健忘または生活史の中の一定の時期や出来事のことを思い出せない状態とされています。

6.その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)

その他の障害には、上記1~5に分類できない症状、多動(落ち着きのなさ)、衝動行動、徘徊、身体的な自覚症状や不定愁訴などがあげられます。

(イ)能力に関する判断項目

1.身辺日常生活

入浴をすることや更衣をすることなど清潔保持を適切にすることができるか、規則的に十分な食事をすることができるかについて判定されます。なお、食事、入浴、更衣以外の動作については、特筆すべき事項がある場合には加味しての判定がなされます。

2.仕事・生活に積極性・関心を持つこと

仕事の内容、職場での生活や働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活に対する意欲や関心があるか否かについての判定がなされます。

3.通勤・勤務時間の遵守

規則的な通勤や出勤時間等、約束時間の遵守が可能かどうかについて判定がなされます。

4.普通に作業を持続すること

就業規則に則った就労が可能かどうか、普通の集中力・持続力をもって業務を遂行できるかどうかについて判定がなされます。

5.他人との意思伝達

職場において上司・同僚等に対して発言を自主的にできるかなど、他人とのコミュニケーションが適切にできるかの判定がなされます。

6.対人関係・協調性

職場において上司・同僚と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうかなどについて判定がなされます。

7.身辺の安全保持・危機の回避

職場における危険等から適切に身を守れるかどうかの判定がなされます。

8.困難・失敗への対応

職場において新たな業務上のストレスを受けたとき、ひどく緊張したり、混乱することなく対処できるかなど、どの程度適切に対応できるかの判定がなされます。

非器質性精神障害と後遺障害の等級

上記の(ア)精神症状、(イ)能力に関する判断項目に照らして、非器質的精神障害が認められる場合、その障害の程度に応じて後遺障害の等級が判断されることになります。

そして、非器質性精神障害の後遺障害等級は、その精神障害の程度に応じて9級、12級、14級の3段階に区分されています。

9級10号

通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの
具体的には、

  1. 就労している者、または就労の意欲はあるものの就労はしていない場合、(イ)の2~8のいずれかひとつの能力が失われているもの。または、(イ)の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要とされる障害を残しているもの
  2. 就労意欲の低下または欠落により就労していない場合、(イ)の1について、ときに助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの

12級相当

通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの
具体的には、

  1. 就労している者、または就労の意欲はあるものの就労していない場合、(イ)の4つ以上について、ときに助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの
  2. 就労意欲の低下または欠落により就労していない場合、(イ)の1について、適切またはおおむねできるもの

14級相当

通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの
具体的には、(イ)のひとつ以上について、ときに助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの


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